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輸入貿易の流れ その1 モノ・カミ・カネの流れとは?

みなさん、こんにちはふみです!

 

さて今回は、そもそも貿易って一体何なのか?ということで貿易の流れについてお話ししたいと思います。

 

貿易業務をやったことない方、経験したことない方にとっては、貿易自体を把握しづらいかと思います。なので今回は貿易取引の全体像をざっくり見ていきましょう。

 

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では今回お話しする内容はこちらです!

 

  1. 貿易取引の仕組み モノ、カミ、カネとは?
  2. 輸入貿易取引の流れ

 

 

まず基本的に貿易というのは外国の相手とモノ(商品)やサービスの売り買いの取引をすることです。外国に商品を売ることを輸出、外国から買うことを輸入といいます。

 

歴史を遡ると日本は戦国時代からもポルトガルと貿易をしていんたんですね。昔のことを考えると、船も丈夫ではないし、飛行機もない時代、さらに今のように安全ではない状態で貿易取引をしていたと考えるととてもすごいですよね。

 

今では日本は世界中の国と取引を行っています。

 

皆さんは貿易と聞いてどのようなやり取りが行われていると思いますか?国と国との取引といえど、取引をしているのは私たちメーカーや商社などの民間企業、また個人の方などが行い、外国との経済を支えているんですね。

 

そんな今では欠かせない外国との商売についてまた今回は、輸入貿易の流れをお話ししていこうと思います。

 

ではまずは貿易には欠かせない3つのワードについてお話しいたします。

 

「モノ」カミ」「カネ」

 

 

この3つのワードが、貿易取引を説明する時に、一番便利な言葉なんですね。

貿易取引をする時はこの3つの事が外国間を行き来する事で成り立っているんです。

 

簡単にここでまとめると、「モノ」を買う前に、書類「カミ」を外国間でやり取りし、最後に「カネ」お金を支払って、「モノ」が届くという流れになっております。

 

では一つずつ説明していきます。

 

モノについて

まずこのモノというのは商品でもサービスでも、取引をする全てのことを「モノ」と呼んでいます。貿易はこの「モノ」を外国間でやり取りしていくので、これがないと何も始まらないわけなんですね。

 

日本は海に囲まれた島国なので、コンテナ船という大きな船でモノを運んだり、飛行機を使ってものが運ばれています。

 

大陸国間同士だと、船ではなく鉄道を使った方法もあります。

現代社会、24時間今でもこの「もの」は世界中を飛び交って外国との経済を繋いでいるんですね。

 

カミについて

次にカミです。カミというのは貿易取引に必要なインボイスやパッキングリスト、B/L、L/Cなどの書類のことを指します。貿易は扱う書類がとても膨大で、何をするにも書類が必要です。

 

契約を交わすのにも、お金を支払う時も、またモノを受け取る時も全てこのカミ、書類が必要なんですね。

 

海外は文化や言語が違うため、外国間の取引は日本での買い物とわけがちがいます。慎重に取引を成立させるために、1つ1つのやり取りも細かく手続きする必要があるんですね。

 

またそれぞれの書類には雛形が決められておらず、いろんな見た目の書類が世界中で使われています。弊社でも30~40社以上の会社と取引をしていますが、これ1つと言って同じフォーマットの書類を見た事がありません。

 

フォーマットは各会社、おのおの独自で作られている場合が多いんですね。

 

ただ最近ではそれを捌くのが大変だということで今ではある程度の書類を統一し、電子化する動きも出ているくらいです。

 

カネについて 

最後にカネです。カネはそのままの意味でお金のことを指します。商品やサービスを売買するのですから、お金のやり取りは当然必要ですね。

 

貿易の場合はスーパーでお買い物をするという簡単なモノではないため、海を超え、会ったことの無い人間が働く会社へお金を送金したり、その会社からお金を受け取る時は簡易的なやり取りではなく、書類や銀行を使用した緊張感のあるやり取りになるんですね。

 

次に、貿易取引の流れをご説明いたします。

 

さてこの3つのことはどのような流れで取引されているのでしょうか。

貿易の全体像を把握するにはこの3つがどのように動いているのか知るのが一番重要です。これからその具体的なやり取りを紹介したいと思います。

 

まずよく貿易実務の本に書かれている図を見た事があるでしょうか?

これはわかりやすいようでわかりにくかったりもしますよね。

なので、今回は私なりに流れを3つの項目に分けましたので、こちらをご覧ください。

 

  1. 売買契約
  2. 荷物の出荷後
  3. 荷物の受け取り前

 

1つの貿易取引を分けるとこの3つの区間に分ける事ができるんですね。

貿易取引は長いスパンを掛けて行う事が多く、外国からモノを輸出して受け取るまでのやり取りを終結させるまでかなりの時間を要します。

 

また今回は、船積み書類を工場から受け取るまでのところまでです!

そのあとはその2で解説いたします!

 

ではある取引を例にして実際のやり取りを見ていきましょう。

簡単に登場人物をここで紹介します。

 

1、ふみ
2、パンダinc
3、通知銀行
4、中国銀行
5、東京銀行

 

この5つの会社で説明させていただきます。

早速見ていきましょう。

 

 

1.売買契約 

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ではまず、契約を成立させるところからスタートしましょう。

例として株式会社ふみは中国のパンダincと契約をします。全ての取引条項、サンプル、価格、その他確認事項をお互いに全て承諾した上で、パンダのぬいぐるみ10万個のオーダーを成立させました。

 

契約を成立させるには契約書にサインをすることで完了いたします。

この書類が先ほど出てきた「カミ」の1つです。ここで最初の「カミ」が出てくるんですね。これにサインをすると契約が成立ということになります。

 

さて、パンダincは株式会社ふみと初めての契約なので、初回の取引は少し不安です。お金の支払いはとてもセンシティブですよね。

 

初めての取引で信用がない株式会社ふみは、お金をちゃんと払うことを保証するL/Cと呼ばれる「代金の支払いを保証してくれるカミ」を取引先の東京銀行に発行依頼します。

 

この信用状というカミは「ちゃんと荷物を出荷した後、絶対にお金を払いますよ」という信用を作るためのカミです。専門用語ではL/C(レターオブクレジット)と呼ばれているもので、

外国間で安心して支払いを済ませるための書類です。これが2つ目に登場するカミなんですね。

 

契約後に行われる信用状の手配はこのような流れで行われます。

 

株式会社ふみ→東京銀行→中国銀行→パンダinc

 

まず、株式会社ふみは取引銀行である東京銀行に信用状を発行してもらい、東京銀行から中国の通知銀行にL/Cの発行を通知します。

 

補足ですが、この通知銀行というのはL/Cを通知するための銀行なので、三菱銀行やみずほ銀行など名前があっても、ここでは単に通知銀行と呼んでいるだけです。

 

通知銀行が必要な主な理由は、詐欺を回避するためです。通知銀行は必ず信用のある大きな銀行で、コルレス契約という国際間でお金の送ったり受け取ったりする際に必要不可欠な契約がしてある銀行でないといけません。

 

実はL/C決済は一部で詐欺が横行していたりもするのですが、このコルレス契約をしている銀行は発行されたL/Cが本物かどうかを見極めるための設備(暗号コード)が備わっていますので、安心して取引をする事ができるんですね。

 

その通知銀行からきたL/Cをパンダincの銀行(中国銀行(仮名))からパンダincへ信用状が発行されましたよという連絡を入れるんですね。

 

ここで銀行が3社出てきました。少しやり取りが複雑ですがこれで貿易取引の契約までが終了です。ここでは契約書と信用状の2つの「カミ」の流れしか出てきません。

   

 

2.荷物の出荷後

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続いて少し早いですが、パンダぬいぐるみ10万個を全て生産をし終わったという体で、話を進めましょう。

 

ここでようやくモノが登場します。一番の主役ですね。

 

商品の船積み船価証券B/Lの発行→手形・船積書類の買取を依頼 買取代り金の支払い  

 

商品の船積みをした後、パンダincにB/Lを発行してもらいます。B/Lというのは、この商品は私たちのモノですよという証明するためのカミでしたね。 

 

さて次に、ここでパンダincは日本ではなく、取引先である中国銀行へ代金の請求書として為替手形と船積書類を渡します。実は先に国内銀行からお金を入手できるのがこのL/Cの特徴です。ちなみに為替手形が中国銀行がパンダincへお金を支払ったという証明になりますので、この手形がないと中国銀行は日本の銀行へお金の請求ができないことになっています。ここでは証明のため必ず手形が必要なんですね。

 

中国銀行は通知銀行経由で日本から信用状をもらってますので、その手形などの書類を確認したあとパンダincへの代金をすんなり立て替えてくれます。L/Cの契約を交わしており、中国の銀行は日本からお金をちゃんともらえる保証があるので、先に中国の銀行へお金を支払うことを快く行ってくれるんですね。

 

ここで、モノとカネも登場しました。あとは荷物を受け取るだけになります。

 

3. 荷物の受け取り前

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手形・船積み書類を送付 →手形を株式会社ふみへ呈示 →代金を支払う→船積み書類の交付 →立替金の送金→B/Lの呈示→貨物の引き渡し 

 

さて最後に荷物を受け取る前に何が起こるのでしょうか。

 

中国銀行は代金を立て替えたので、東京銀行にお金を払って欲しいと頼むために、先ほどの「手形」と船積書類を送ります。この手形が中国銀行はすでにパンダincへお金を建て替えましたよという証拠になるんですね。

 

それを受け取った東京銀行はその手形と船積書類を株式会社ふみへ流します。

そして株式会社ふみはその手形を確認して、パンダincさんのものと確認し船積書類と引き換えに、日本の銀行へ代金を支払うことになります。そのお金が東京銀行経由で中国銀行へ入金される仕組みになっています。

これでパンダincにとっては商品も無事に出荷し、代金も安心して回収する事ができたわけですね。

 

船積み書類が手に入ればあとは日本側の手続きのみになり、いつも通りにフォワーダーさんとやり取りを行い、商品を入手する流れになります。

 

これで、貿易の流れの説明はひとまず終わりです。

 

 

このように一気に全体を覚えるのではなく2つ3つに分けて、それぞれ「モノ」カミ」「カネ」どのような動きをしているのかを把握するのが理解への近道になるんですね。

 

 最後にもう1度おさらいのために流れをまとめましたのでご覧ください。

 

 

1. 売買契約に行われるのは 

「カミ」 = L/C (信用状)


2. 荷物の出荷後に行われるのは
「モノ」= 商品の船積み
「カミ」= B/Lと為替手形
「カネ」= 銀行からの立替金


3. 荷物の受け取り(直)前に行われるのは
「カミ」= 為替手形・船積み書類・B/L
「カネ」= 株式会社ふみから国内銀行への送金・国内銀行から中國銀行への送金 

 

モノを外国から買い受け取るまでにはこのような手続きがお互いの会社、銀行間で行われており、顔も見えない海外相手と売買をするのは本当に大変なんですね。

 

しかし実務では信用のある会社とでは、複雑なL/C決済は行わずもっと簡単なT/Tという電信送金でやり取りを行うこともよくあります。T/T送金は簡単にいうと、ネットショップで買い物をするように、会社から直接、相手先の銀行にお金を振り込む方法です。

 

これは銀行間で行われる手続きを省略する事ができるので、長年ずっと一緒に仕事をしている信用のある会社とはこの方法で決済を行うことも多いんですね。

 

では今回は、貿易の流れについての動画でした。

ご参考になればとても嬉しいです。

 

ではではこの辺で。