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各国の貿易収支を知ろう!貿易赤字・黒字とは? ー貿易摩擦をわかりやすく解説します!ー

みなさんこんにちはふみです!

 

さて今回は、日本や諸外国の貿易収支についてお話ししていきます。

これは貿易実務検定にも出てくる経済的背景の知識を問われる問題としても出てきますよね。2007年の中国との最大貿易相手国はアメリカである。などの設問も頻繁に登場します。

 

テストでもそうですが、貿易をしている上で世界でのお金の動きがわかったり、各国の経済力なども把握できますので貿易に携わっている方はぜひ知っておきましょう。

 

では今回お話しする内容はこちらです。

 

1、日本、中国、アメリカの貿易収支

  どの国が一番儲けているの?

2、貿易摩擦って何?

   貿易は儲け過ぎてはいけない!?

 

さて早速みていきましょう。

 

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1. 日本・中国・アメリカの貿易収支について

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ではまずは日本中国アメリカ3カ国間で行われている輸出入についてみていきましょう。日本にとってメインの貿易相手と言われるこの中国とアメリカですが、日本はこの3カ国中、どのような立ち位置なのでしょうか。

 

こちらの表をご覧ください。

 

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(出所)日本貿易振興機構(ジェトロ)ウェブサイト「統計ナビー貿易統計ー世界貿易マトリクス」

ジェトロ(日本貿易振興機構) | ジェトロ

 

これはJETROが提供している統計ナビです。ここで日本、また取引先主要国や同盟の貿易収支を見る事ができます。今回は2019年に行われた世界の貿易をみていきましょう。

  

この表はマトリクス表と呼ばれるもので、ご存知の方も多いとは思いますが、まずは簡単に表の見方の説明をしましょう。

 

これは輸入と輸出に関して、それぞれの国同士でどれくらいの金額をやり取りしたのか、そしてお互いにどれくらい貿易しているのかがわかる表です。

 

まずは左上の数字をみてみましょう。

 

18,684,769と記入されていますね。そして右上をみてみましょう。単位が100万ドルになっています。ここで、これはアメリカドル(基軸通貨なので)なんだとまずは単位を確認しましょう。あまりにも膨大な金額なのでこのように大きな金額を表にするときはこのように単位を決めてあげるとみやすい表になるんですね。

 

ちなみに100万ドルは日本円で約1億円です。

 

ここでパッと金額が頭に出てくる人はいいですが、わからない方はこの表の数字にゼロをつけてあげましょう。

 

まず一番左上の数字は18,684,769ドルですね。ここに1億円分のゼロをつけてあげます。これはドルなので、100万ドル分つけてあげましょう。

 

1,000,000ドルなので0が6個ですね。18,684,769,000,000ドルこれは日本円で幾らかというと、1$=100円くらいなので、単純にゼロを2個つけてあげましょう。そうすると1800兆円になります。すごい金額ですね。世界ではこんなお金が1年の間に飛び交っているんですね。

 

では単位がわかったところで、それぞれの貿易収支をみていきましょう。

 

まずは日本の輸入についてみていきます。日本の輸入をみたい場合は行の日本のところをみます。そしてどの国からどのくらいの金額を輸入したかをみたい場合は、その列の国を探してクロスさせるだけなんですね。

 

さてまずは中国に対してどのくらいの金額を輸入しているのかをみてみましょう。中国はここですね。そしてクロスさせると、この数字ですね。143,224ドル取引をしています。

これを日本に直すと約14兆円にもなる金額を取引をしています。

 

輸入なのでこの金額を1年間で中国に支払っているというわけなんですね。

 

一方、どのくらいのものを中国に輸出しているかというと、

 

輸出の列をみて、行の中国をみてみましょう。134,710つまり13兆円ですね。

輸出なので1年間に13兆円ものお金を中国からもらっているということになります。

 

これを比べて見ると、この年では中国と日本ではある程度、均衡を保って貿易をしています。

これは貿易だけを見るとお互いのバランスが取れている、いい状態と言えるんですね。

どうやらこの年の日本は中国とは対等な関係が築けているようです。

 

次に対アメリカをみてみましょう。

 

日本はアメリカから74,653ドル、つまり7兆円分のものを輸入しています。

中国に比べたら半分くらいの金額をアメリカに対して使っているんです。

次に日本はアメリカにどれだけ輸出をしているかというと、140,394ドルつまり14兆円ものお金をアメリカから得ているわけです。単純に輸入の金額の倍くらいです。対アメリカとの貿易は黒字なんですね。

 

やったー、中国との貿易は赤字だったけど、アメリカとの貿易は黒字でしかも単純に7兆円も黒字なんだーと嬉しい気持ちになるかも知れませんが、貿易に関しては黒字に単純に喜んではいけません。

 

貿易はどちらかが一方的に儲かってはいけないんですね。

 

なぜかというと、どちらかが一方的にもうけていると、その輸入している品と国内で生産している同じ品に大きな影響が出るからです。

 

では次にこの片方が一方的に儲かってはいけない現象である

貿易摩擦についてお話ししていきます。

 

2、貿易摩擦について -儲け過ぎちゃいけないの?-

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みなさんは、トランプ元大統領がトヨタに対して儲けすぎだ!怒って言っていたことを覚えているでしょうか。

 

2019年ごろ、トランプ元大統領が日本の車の輸入が増えすぎだと発言したあの問題です。

 

どうしてこのようなことをいったのかと言うと、トヨタの車ばかりがアメリカで売れてしまったら、アメリカ製の車が売れなくなりアメリカの車産業が停滞してしまうからなんですね。

 

自国の車が売れなくなったら、車の会社も利益がなくなりますよね。最悪な場合は人件費を削るため人を切らなければいけないということで雇用問題にもなってしまうんです。

 

トヨタの車が売れるということは日本の経済にとってはとてもいいということにはなるのですが、貿易というものは複雑でどちらかが儲け過ぎればどちらかが悲しむというこ事が起きてしまいます。

 

また雇用を失った人も、儲かっている国のバッシングをしたり不買運動と言ってその国製品は買わない!ということをしたり、その国に関係するお店を壊したり、国旗を燃やしたりと、、そんなことをしてもどうにもならないのにと思うことも、

 

やってしまう事があります。人の心に大きな穴が空いてしまいこのような悲しい社会的問題も発生してしまうんですね。

 

このように貿易でどちらかが儲けすぎていて、片方が不公平になる現象を貿易摩擦といいます。

 

この貿易摩擦を解決する方法はこれ!と言うものがなく、、不公平を感じている国がその大量に輸入をしている商品に対して関税という税金をかけるという選択をとる事が多いです。

 

この関税は、いわば自国の製品を守るためにある税金です。

 

外国からくるものにお金をかければ簡単には輸入しなくなるからです。誰もお金がかかるものは手が出しにくくなるので、その分自国製品を消費する方向にシフトできるんですね。

 

ただそれは牽制でしかなく、実際は需要がまさっているため輸入が大幅に減るということには繋がらない事が多いのですね。

 

なので基本的には輸出している側が輸出を制限して調整してあげるという、しょうがないなぁという気持ち、いわゆる譲歩をしてあげるのが解決策として使われているのが現状です。

 

とても複雑で難しい問題ですよね。

 

自分の国が自分達の作った商品を売ることによって経済が潤うということは嬉しいですが、それが原因で相手国の一部の国民に被害が出てしまい、自分たちの作った商品が嫌いになったり、壊してしまうわけです。。とても悲しいことです。。できるだけお互いに均衡保った関係が望ましいというのが貿易なんですね。

 

ですが、デメリットが多いと思われるこの貿易摩擦ですが一方でメリットもあります。

 

貿易摩擦で起こる良い影響

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それはいろんな国同士で同じ商品を作れば競争力が上げられるというのと、消費者が商品を選んで購入できるということです。

 

車でも他でもそうですが、世界で1社しか車を生産していなかったらその会社は商品を独占できてしまうわけです。

 

1つの会社だけが潤うと、力関係が強くなりすぎてその会社の言いなりにしかなれなくなったり、独占すると権力が大きすぎてわがままになってしまうのが問題なんですね。

 

なので、いろんな国の企業が同じ種類の商品を作ることで、お互いに競争力が増して、さらにいい商品を作ろうとなりどんどん商品が洗練されていくんですね。

 

またそのほうが消費者にも選ぶ権利が増えて、1つ2つだったものが10個くらいになれば、買い物をして楽しい、またいい商品を買おうとするのが一般的なので、自分の商品を買う人が多ければ多いほど、企業にもいいフィードバックが得られるわけです。

 

またその逆もしかり、買わない人がいれば改善するというメリットもあるんですね。

 

以上、これが貿易摩擦です。

 

過去にも貿易摩擦が原因でいろんな問題が起こっています。

今では米中貿易摩擦が記憶に新しいことでしょう。

 

いろんな問題が世界では取り巻いているんですね。やはり一方が得をして片方が損をする世の中はうまくいかないということです。お互いのことを考えつつ、より良い商品作りを作っていく事が平和的競争としていい事だと私は思います。

  

では、今回は日本や諸外国の貿易収支についてのお話しでした。

ご参考になればとても嬉しいです。

 

ではではこの辺で。